アパートに戻った翌日から、再び職場へ出勤しました。
幻聴は続いていましたが、幻聴からも仕事に行って、迷惑をかけた人に謝罪するように言われていたので、出勤できました。
施設の方にひとしきり謝罪をし、わたしのことを心配している方もおられましたが、怒っている方も当然おられました。
この頃にはすでに、物事に対する感じかたや感情のわきかたが、病気の前と変化してしまっていました。
病気の前のわたしは、感動したり悲しいことを聞くと、感情が高ぶって、泣いてしまうことが多かったです。
しかし、発症してからは、感情の高ぶりがなくなり、泣くことが一気に減っていきました。
施設長がわたしを心配して、ご自身の体験談も交えて、涙を流しながら、話してかけてくださったのですが、そのときも感情がわきませんでした。
顔をゆがめて「すみません、ありがとうございます」とひたすら言い続けていただけでした。
幻聴が話しかけ続けていたので、話が半分くらいしか頭に入ってこないというのもありましたが。
幻聴から「施設長がこんな風に話しているのに、あなたは涙のひとつも出ないの?ひどい人間」と罵られていました。
妄想もやはりありました。
他県に住む幼馴染に不義理なことをしている、すぐに電話をしなければいけないという思いにかられました。
姉のときと同様、ありもしない思い出話を語り、過去に傷つけてしまったことを謝罪するなどしてしまいました。
幼馴染は迷惑がることもなく、話を聞いてくれました。
頭の中から声が聴こえていることも話すと、最後に「こんなこといってごめんだけど、心が疲れているかもしれないから、病院とか行ったらいいんじゃないかな」と、幼馴染にも心配をかけてしまいました。
自宅からアパートに戻ってきてから数日がたちました。
幻聴を一方的に聴いているだけでなく、わたし自身も幻聴の話した内容に、心の中で返事をし、さらに幻聴がそれに答える…
なんだか頭の中で会話している状態になっていました。
その日はどうして仕事を休んだのか覚えていませんが、朝に職場へ電話を入れ、仕事を休んでいました。
幻聴と会話しながら、アパートにこもっていたところ、職場のAさんとBさんが訪ねてこられました。
「精神科へいこう」と促され、そのまま精神科に受診することになりました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。