母も仕事を抜けて、アパートに来ていました。
職場のAさんとBさん、母とで、車で5分ちょっとの距離にある精神科単科のD病院に行きました。
Aさんが、女医の先生のほうが話しやすいのではと配慮し、市内の中心部にあるT病院に予約を入れようとしていましたが、予約でいっぱいで当日の受診はできないとのことでした。
D病院は電話をしたところ、すぐに来てくださいとのことだったようで、その日に受診することができました。
D病院の待合室はさほど混みあっておらず、数分ほどで診察室に呼ばれました。
母と一緒に診察室に入りました。
診察中も幻聴が聴こえていました。
詳細は覚えていませんが、幻聴が、このことは言ってもいいけど、このことは言わないようにと口止めしてきていました。
医師に話したことは、「車の中に盗聴器がしかけられていると思った」という内容くらいだったと思います。
幻聴のことは言わなかったような気がします。
わたしが診察室から出たあとに、Aさん、Bさんも診察室に入っていきました。
診断名は「統合失調症」でした。
「軽い統合失調症。看護師だからわかるよね、薬を飲めばよくなるからね」と医師から優しく言われました。
統合失調症と診断、告知されましたが、その時のわたしの中には、すでに別のストーリーが出来上がっていました。
わたしの頭の中には、別の人格が住んでいる、その人格の言葉を聞くことができる能力が開花したのだと…。
幻聴から「統合失調症は誤診だ、ヤブ医者だな」と言われました。
わたし自身も、自分が特殊能力を持っているがために、頭の中から声が聴こえてくるのだと思いこんでいたので、統合失調症という病名を信じようとしませんでした。
診察後、リスパダールという抗精神病薬が処方されました。
その日はアパートへは帰らず、病院からそのまま実家に帰りました。
夕食後、母から薬を飲むように促されました。
しかし幻聴から「薬は飲んだらダメ」と言われ、母の前で薬をのんだふりをして、ごみ箱に捨てていました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。