職場のBさんのおかげで、盗撮・盗聴の恐怖は軽くなり、自宅に戻ることができました。

職場と自家用車が監視されているという妄想を抱きましたが、自宅は安全だと思っていました。

住んでいたところは、職場から車で3分ほどの距離のアパートの2階で、独身だったので、ひとり暮らしでした。お風呂に入り、ベッドで横になると自然と眠たくなりました。

この日以降は、盗聴器や監視カメラがしかけられているという妄想はなくなりました。

しかし、だれかに見られているという感覚は、その後も続きました。
わたしは試されている、これから起こることはすべて試練だ、という妄想に支配されていました。

その後数日間は、仕事をこなしていましたが、常に人の目を意識していました。

サービス担当者会議があれば、デイサービスの相談員さんが組織の一員で、わたしの言動を逐一報告しているという妄想を抱き、強い緊張状態にありました。

この頃は、夜は寝ていたはずですが、見られているという緊張感をもって生活していたからなのか、仕事中に強い眠気におそわれていました。
管理者のAさんに許可をもらい、別の部屋で仮眠をとらせてもらっていました。

わたしが勤務していた地域包括支援センターは、社会福祉法人が委託を受けて運営していたので、わたしもその社会福祉法人の職員でした。
主に介護老人福祉施設を運営している法人で、介護職員さんで顔を合わせれば会話する職員さんは何人かいました。

発症後数日たつと、表情にも異質な雰囲気が出ていたようで、異変を知らない職員さんから「やせたんじゃない?大丈夫?」と声をかけられていました。

さらに職場に迷惑をかけてしまった出来事がありました。
法人の行事として、夏祭りが毎年開催されており、その年の夏祭りの実行委員に選ばれ、司会の役割をもらっていました。

夏祭りがあったのは、土曜日でした。

夏祭りの前日から、自分はだれにも必要とされていないといった考えが頭の中に広がっていました。

そして幻聴もひどくなり、「もう仕事にいくな」「夏祭りは行かなくてもいい」「もうみんなあなたが来ないことは知っている」という幻聴が聞こえていました。

幻聴を言うがままに、夏祭りの日、無断欠勤をしてしまいました。

職場のいろいろな方に迷惑をかけてしまうことになり、今でも申し訳ない気持ちになります。
お読みいただきありがとうございました。